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文献詳細

雑誌文献

生体の科学24巻5号

1973年10月発行

文献概要

総説

松果体の生化学

著者: 市山新1

所属機関: 1東京大学医学部栄養学教室

ページ範囲:P.210 - P.226

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 生物がどのような仕組で外界の情報を認知し,個体の内部へとり入れ,これに対して反応するのであろうかということは生物学を学ぶ者にとつて尽きせぬ興味である。Decartesが「松果体は心の座である」と述べて以来,多くの人々に注目されていた松果体(Pineal gland)は,最近ではメラトニンの産生臓器として,外界の光が動物の内分泌系の機能,特に性機能を調節する際に,"つなぎ"としての重要な役割を果たすらしいことが,ここ10年来のAxelrod一派を中心としたインドールアルキルアミン,カテコールアミンに関する研究の結果明らかにされてきた。メラトニンは後述するように哺乳動物では松果体でのみ合成され,その生合成は外界の光および現在未だ正体がまつたく不明の内因的な動物のリズムにより調節されているが故に,動物のリズムの"Mediator"として最近とみに注目を集めている物質であるが,その発見は1917年にMcCord and Allen1)がウシの松果体の抽出液中にオタマジャクシの皮膚の色を白色に変化させる松果体に特有の物質が含まれていることを発見したことに遡る。約40年後の1958年にLernerら2)はこの化合物を実に25万頭以上のウシの松果体から抽出,精製し,その構造式を5-メトキシ-N-アセチルトリプタミンと決定した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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