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出血のメカニズムへの1つのアプローチ—蛇毒出血因子(赤血球漏出因子)の研究
著者: 逢坂昭1
所属機関: 1国立予防衛生研究所細菌第2部
ページ範囲:P.266 - P.293
文献購入ページに移動蛇毒は一般に,各種の水解酵素の豊富な宝庫として知られているが1)4),ほかに種々のタンパク性有毒因子(毒素)***を含んでいる1)−4)。これらの有毒因子のなかには,末梢血管系に作用してなんらかの異常を起こさせ,赤血球を血管の外に漏出させる特異な作用(出血作用)を持つものがあり,このような作用を示す有毒因子は出血因子(hemorrhagic Principle;hemorrhagin)と呼ばれる4)5)。
出血因子はマムシ科(Crotatidae),クサリヘビ科(Viperidae)のすべての蛇毒****やある種のクモ毒(Loxosceles科)などの,いわゆる"動物毒素"(animal toxin)中に含まれているほか,ウェルシュ菌(Clostridium welchii;Clostridium Perfringens),ヒストリチクス菌(Clostridium histolyticum),百日咳菌(Bordetella pertussis),志賀赤痢菌(Shigella shigae)などの病原細菌の産生する,いわゆる"細菌毒素"(bacterial toxin)中にもその存在が知られている5)。
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