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特集 生体の科学 展望と夢 展望と夢
神経系と情報処理
著者: 西尾英之助1
所属機関: 1京都大学理学部生物物理学教室
ページ範囲:P.46 - P.51
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近年電子計算機の発達に伴つて,生体の研究において,情報処理が重要な研究手段の一つとみられるに到つた。単なるデータ整理ではなくて,時系列解析や,電顕写真のパターン認識にまで利用されている。ところで,神経系に関していえば,それ自体が情報処理系であることから,情報処理と二重のかかわりをもつているといえる。生体の情報処理の研究に,人工の情報処理技術を利用するわけである。
生体の情報として重要なものに,他に遺伝情報があり,その研究に情報処理技術が利用されてはいるが,主な研究手段は,やはり物質的基盤をさぐる分子生物学,生化学,物理化学の実験であろう。これに反して,神経系の情報の研究は解剖学や形態学的な方法から,電気生理学へと変遷する過程でも明らかなように,情報の処理(伝達)に重点が置かれている。近年シナプスの伝達機構の分子生物的な研究が盛んになり1),よりミクロな過程が注目されているが,情報処理の観点からすれば,生理学的なレベルで得られた知見を基礎にしなければなるまい2)。
近年電子計算機の発達に伴つて,生体の研究において,情報処理が重要な研究手段の一つとみられるに到つた。単なるデータ整理ではなくて,時系列解析や,電顕写真のパターン認識にまで利用されている。ところで,神経系に関していえば,それ自体が情報処理系であることから,情報処理と二重のかかわりをもつているといえる。生体の情報処理の研究に,人工の情報処理技術を利用するわけである。
生体の情報として重要なものに,他に遺伝情報があり,その研究に情報処理技術が利用されてはいるが,主な研究手段は,やはり物質的基盤をさぐる分子生物学,生化学,物理化学の実験であろう。これに反して,神経系の情報の研究は解剖学や形態学的な方法から,電気生理学へと変遷する過程でも明らかなように,情報の処理(伝達)に重点が置かれている。近年シナプスの伝達機構の分子生物的な研究が盛んになり1),よりミクロな過程が注目されているが,情報処理の観点からすれば,生理学的なレベルで得られた知見を基礎にしなければなるまい2)。
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