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Neurophysiological Genetics—神経による遺伝情報の解読
著者: 池田和夫1
所属機関: 1
ページ範囲:P.144 - P.152
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一つの世代からつぎの世代への情報は遺伝子によつて伝えられる。伝えられた情報(因子型)はその世代の個体において解読さねることによつて,初めて情報の意義を表わすことになる(表現型)。さてその解読であるが,解読は個体の発生過程においてなされて,解読された結果が個体そのものであるという観念が,メンデル以来今日まで,解読という意識をもつにせよ,もたぬにせよ,遺伝学あるいはそ恵に関連する科学(たとえば発生学)にたずさわる人々の心の底にあつたことは想像に難くない。それは古典遺伝学が形態的表現型(体の構造)を示標として発達した結果,そして近代遺伝学がその概念を引き継いだものである結果として当然のことである。事実,多くの遺伝情報が体の構造に関するものであるから,因子型→発生→形態的表現型という経路を取り上げるのは当然で,形態情報の研究はこの経路において行なわれるべきであるし,それが機能ともつながるものであることはもちろんである。
しかし,機能に関する情報については別の扱い方があり得ないだろうか。因子型→個体内の情報処理機構→機能的長現型という経路があり得るのではないか。そうとすれば,この経路こそ遺伝情報の因子型から表現型への変換機構の研究に新しい可能性を与えるものではないか。個体内の情報処理は神経系と内分泌系とによつて行なわれる。
一つの世代からつぎの世代への情報は遺伝子によつて伝えられる。伝えられた情報(因子型)はその世代の個体において解読さねることによつて,初めて情報の意義を表わすことになる(表現型)。さてその解読であるが,解読は個体の発生過程においてなされて,解読された結果が個体そのものであるという観念が,メンデル以来今日まで,解読という意識をもつにせよ,もたぬにせよ,遺伝学あるいはそ恵に関連する科学(たとえば発生学)にたずさわる人々の心の底にあつたことは想像に難くない。それは古典遺伝学が形態的表現型(体の構造)を示標として発達した結果,そして近代遺伝学がその概念を引き継いだものである結果として当然のことである。事実,多くの遺伝情報が体の構造に関するものであるから,因子型→発生→形態的表現型という経路を取り上げるのは当然で,形態情報の研究はこの経路において行なわれるべきであるし,それが機能ともつながるものであることはもちろんである。
しかし,機能に関する情報については別の扱い方があり得ないだろうか。因子型→個体内の情報処理機構→機能的長現型という経路があり得るのではないか。そうとすれば,この経路こそ遺伝情報の因子型から表現型への変換機構の研究に新しい可能性を与えるものではないか。個体内の情報処理は神経系と内分泌系とによつて行なわれる。
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