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文献詳細

雑誌文献

生体の科学25巻2号

1974年04月発行

文献概要

実験講座

エネルギー分散型X線マイクロアナライザーの使用法

著者: 五十嵐至朗1

所属機関: 1自治医科大学解剖学教室

ページ範囲:P.170 - P.173

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 はじめに
 試料を破壊せずに(厳密にいえば正確ではないがホモジナイズして分離することなしにの意)その中に含まれる元素を検出し得る有力な手段としてエレクトロンプローブX線マイクロアナリシス(EPXMA)が従来からあつたが,その主流は波長分散型(WD)であつた。生物試料を対象とした場合はWD感度の限界から直径1μm以下の範囲の分析を行なうときなど電子線による試料損傷が大きく測定が困難であつた。近時非常に純度の高いシリコン結晶を利用して,X線エネルギーを電気量を変えて検知できるSi-detectorが開発され,また宇宙開発その他によつて飛躍的に発達したエレクトロニクスによる電気的エネルギーのアナライザーを上記Si-detectorと組み合わせることにより,微量X線を検知し元素特有のエネルギーの分析を可能にしたエネルギー分散型(ED)X線分析機(AX)が実用化された。
 他方超微形態の観察をすると同時に,その対象物の成分分析をしたいという生物学者の一つの夢が古くからあつたが,これも一般の走査電顕(SEM)または一般型電顕(CEM)に透過走査装置をつけて透過走査電顕(TSEM)とし,前述のED-AXを組み合わせることにより長かつたその夢も現実のものとなつた。TSEMの場合は,特殊対物レンズを使用してその前磁場を利用することにより極微小電子ビーム(30Å以下)も可能となり像分解能も向上した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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