文献詳細
特集 伝達物質と受容物質
総説
文献概要
アセチルコリン(ACh)受容体を単離しようとする試みは1960年頃Chagas1),Ehrenpreis2,3)らによつて始められたが,成功には至らなかつた。ChagasはACh受容体を豊富に含む材料として電気魚の電気器官を選び,放射性gallamineによつてACh受容体を標識し,放射活性を目標に受容体を抽出,分離しようとした。しかしgallamineとACh受容体の結合が抽出,分画の途中ではなれ,目標が失われてしまうことが失敗の原因であつた。
1960年頃から台湾のChang,Leeら4,5)はヘビ毒素の薬理作用を研究しているうちに,台湾産のヘビBungarus multicinctusが産生する毒素の一成分α-bungarotoxin(α-BuTX)がACh受容体と非可逆的結合を作ることを見出した。1970年代になつて131I,125I,3Hなどでラベルしたα-BuTXをACh受容体に結合させ,Chagasと同じような考えでACh受容体を分離しようとする試みが盛んに行なわれたのを初めとして,ヘビ毒素の応用がACh受容体を単離する大きな推進力となり,最近2〜3年の間にこの分野の急速な進歩をもたらした。
1960年頃から台湾のChang,Leeら4,5)はヘビ毒素の薬理作用を研究しているうちに,台湾産のヘビBungarus multicinctusが産生する毒素の一成分α-bungarotoxin(α-BuTX)がACh受容体と非可逆的結合を作ることを見出した。1970年代になつて131I,125I,3Hなどでラベルしたα-BuTXをACh受容体に結合させ,Chagasと同じような考えでACh受容体を分離しようとする試みが盛んに行なわれたのを初めとして,ヘビ毒素の応用がACh受容体を単離する大きな推進力となり,最近2〜3年の間にこの分野の急速な進歩をもたらした。
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