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特集 生体膜—その基本的課題 総説
生体膜の多様性と共通性—生体膜の形態学的分化
著者: 山田英智1
所属機関: 1東京大学医学部解剖学教室
ページ範囲:P.378 - P.389
文献購入ページに移動 Ⅰ.生体膜とは
生物が生命現象を営為するうえに,生体膜が基本的な重要性をもつことについては,誰もが認めていることであろう。しかし,生体膜という言葉で意味していることは,使う人と場合によつて必ずしも同一でないことが多い。たとえば,形態学的に像としてとらえられる"膜"が,生理学的に,あるいは生化学的に論義される場合の"膜"と同一のものをさしているかどうかは,実は確かめるのがそう容易ではないのである。しかし最近,これら三方面からの研究は相互に近づきつつあることもまた事実であつて,その間のgapは次第に埋められつつあるといえよう。
さて,形態学的に"膜"というときは,共通の特徴をもつ一定の構造を示すものをさしているが,このような概念が確立したのは,電子顕微鏡細胞学の発達に依存している。
生物が生命現象を営為するうえに,生体膜が基本的な重要性をもつことについては,誰もが認めていることであろう。しかし,生体膜という言葉で意味していることは,使う人と場合によつて必ずしも同一でないことが多い。たとえば,形態学的に像としてとらえられる"膜"が,生理学的に,あるいは生化学的に論義される場合の"膜"と同一のものをさしているかどうかは,実は確かめるのがそう容易ではないのである。しかし最近,これら三方面からの研究は相互に近づきつつあることもまた事実であつて,その間のgapは次第に埋められつつあるといえよう。
さて,形態学的に"膜"というときは,共通の特徴をもつ一定の構造を示すものをさしているが,このような概念が確立したのは,電子顕微鏡細胞学の発達に依存している。
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