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特集 生体膜—その基本的課題 総説
生体膜の動態—タンパク質の代謝回転
著者: 大村恒雄1
所属機関: 1九州大学理学部生物学教室
ページ範囲:P.402 - P.408
文献購入ページに移動 生物体を構成する種々のタンパク質が絶えず代謝回転していることは,同位元素によつて標識されたアミノ酸の使用によつて確立された事実であるが,生体膜のタンパク質もその例外ではない。細胞内に存在する小胞体,ミトコンドリアなどの小器官の膜のように活発な物質代謝活性に関与し,形態的にも絶えず変化を示す膜についてはもちろん,神経繊維のミエリン膜のように,代謝的に全く不活発でかなり硬い構造をもつていると思われる膜についてさえ,膜のタンパク質の代謝回転が認められている。膜タンパク質の代謝回転についての研究は比較的最近になつて始められたもので,タンパク質の細胞内における分解過程やその機構などもまだほとんど明らかになつていないが,細胞内における生体膜の動態を理解するためには欠くことのできない研究分野である。
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