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実験講座
カニの平衡胞感覚線維のコバルト染色と平衡胞の灌流刺激
著者: 岡島昭1
所属機関: 1横浜市立大学文理学部生物学教室
ページ範囲:P.455 - P.463
文献購入ページに移動カニの平衡胞に関する研究は予想外に少ない。機能の概観を得るため,本論に入る前に簡単に紹介すると,その形態学的な研究は古くHensen6)(1863)にはじまつている。彼は詳細な形態学的知見に基づいて,カニの平衡胞が脊椎動物の内耳に相当する平衡感覚と聴覚の機能をもつと結論した。感覚毛の形態をはじめとする彼の記載そのものは,一,二の細かい点を除いて現在の知見に照らしても正確である。その後,Prentiss10)(1901)は同じく形態学的な根拠から,エビやカニの仲間(十脚類,decapod Crustacea)の平衡胞の聴覚機能を否定し,さらに,カニの平衡胞は見掛け上脊椎動物の半規管と似た形態をもつが,実は平衡胞の内液が外液と通じていて,閉鎖管系をなしていないという理由から,半規管と同様に運動感覚に関与するという考えをも否定した。
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