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特集 感覚有毛細胞
特集「感覚有毛細胞」によせて
著者: 勝木保次1
所属機関: 1東京医科歯科大学
ページ範囲:P.101 - P.101
文献購入ページに移動 感覚有毛細胞の代表的なものは内耳有毛細胞と味覚細胞である。両者は感覚二次細胞といわれ,刺激の受容が行なわれる。中枢への神経情報は,この有毛細胞に終る神経終末でおこり,このような意味では両者はよく似ている。刺激受容のセンサーは有毛細胞であり,情報をおくるためにはこの細胞とは別に発生した神経線維が細胞底部の膜面にシナップス接続をしている。そうはいつても高等動物においては両者の間に形態的にかなりの差がみられる。たとえば細胞上面の毛の性質,有毛細胞とこれを取り囲む支持細胞との関係や,遠心性系路の存在などである。しかし動物の種類によって両者の間の差が一様ともいえず,これらの発達の過程をみると必ずしもはつきり区別があるともいえない。
この両者の起源をたどつてゆくと水生動物では共に体表の感覚器であり,脊髄神経,迷走神経,communisnerveなどにより支配されているといわれているが,これは体部の話で,頭部では三叉神経や舌咽神経が脊髄神経にかわつている。この意味では本誌前号の「体内センサー」とは全く異なり,体外の水生環境の変化を感ずるのが本来の働きなのであつて,陸生動物になると体内の特定の部位に限局するようになる。すなわち一方は味覚器として口腔内に,他方は内耳内に局在する。味細胞上面の毛は身体の方々の細胞に広くみられる絨毛であるが,一方の内耳受容細胞の毛はそれと異なつた種々の長さに成長した毛である。
この両者の起源をたどつてゆくと水生動物では共に体表の感覚器であり,脊髄神経,迷走神経,communisnerveなどにより支配されているといわれているが,これは体部の話で,頭部では三叉神経や舌咽神経が脊髄神経にかわつている。この意味では本誌前号の「体内センサー」とは全く異なり,体外の水生環境の変化を感ずるのが本来の働きなのであつて,陸生動物になると体内の特定の部位に限局するようになる。すなわち一方は味覚器として口腔内に,他方は内耳内に局在する。味細胞上面の毛は身体の方々の細胞に広くみられる絨毛であるが,一方の内耳受容細胞の毛はそれと異なつた種々の長さに成長した毛である。
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