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特集 感覚有毛細胞 総説
側線器の化学受容—有毛細胞の化学受容性
著者: 柳沢慧二1
所属機関: 1鶴見大学歯学部生理学教室
ページ範囲:P.117 - P.126
文献購入ページに移動 有毛細胞は高等動物の内耳の聴器や平衡器にある受容細胞であるが,これらの器官は発生学的に水棲動物の側線器と同一の起源であり,側線器の受容細胞も内耳と同様の構造の有毛細胞である。聴側線系(acoustico-lateralis system)はこれらの機械的受容器の総称であるが,その働きと発生過程とを総称しているという意味で非常に好都合の用語である。本特集では聴器,平衡器の有毛細胞については別に取り扱われているので,本稿では側線器の有毛細胞についてのべることにする。内耳有毛細胞が他の組織に比べて異常に高濃度のK+を含む内リンパ液に接していることは17),内耳有毛細胞の化学受容性を示唆して興味深いが,ここでのべる側線器有毛細胞の化学受容性が,そのまま内耳にもあてはまるかどうかは,まだ今後の課題である。しかし,複雑な高等動物の機能を解明する手段として単なる比較生理学ではなくて系統発生学的手法を取り入れることはきわめて有効であるし,また必要なことである。
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