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聴覚毛細胞とラセン神経節細胞の微細構造
著者: 粟田口省吾1
所属機関: 1弘前大学医学部耳鼻咽喉科学教室
ページ範囲:P.142 - P.151
文献購入ページに移動 最近,透過型ならびに走査型電子顕微鏡の発達普及により,生体のうちで最も複雑で精巧な構造をもつ細胞の一つである聴覚毛細胞の特殊な微細構造やラセン神経節細胞の超微形態学的特徴がつぎつぎと解明されている。とくに聴覚毛細胞については,従来研究用として最も多く用いられているモルモット2〜4,16,26,27,29),マウス11),ネコ30),ラット28),カイウサギ25),カエル7)などより,ハト33)やヒト12)にいたるまで,種々な動物の聴覚毛細胞を主とする内耳の構造が,精密でしかも美麗な電子顕微鏡の写真が付けられ,詳細に説明されている。また,ラセン神経節細胞についても,キンギョ21),ラット22),モルモット10,18〜20,32,35),鳥類8)—スズメ,カワラヒワ,ツグミ—,カエル1,36)などの発表がある。しかし,これら両細胞についての微細構造は,もちろん,観察した動物によつて大きな差があり,また,動物の種々な条件や観察方法によつても,はなはだしく異なつており,一定の見解に至つていないものも少なくない。ここでは,個個の実験方法や条件については割愛して,渉猟し得た文献や資料を基礎として,聴覚毛細胞とラセン神経節(第八脳神経節)細胞の微細構造について,全般的に,その概略を述べてみたい。
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