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工学的にみた聴覚器官の特性
著者: 大串健吾1
所属機関: 1NHK放送科学基礎研究所
ページ範囲:P.152 - P.163
文献購入ページに移動 まえがき
従来の工業技術は,概して人間の種々の面の能力を拡大する方向に進歩してきたといえよう。たとえば,人間の走行能力を拡大するものとして自動車,計算能力を拡大するものとして電子計算機というような例が考えられるが,このような例は他にも多く挙げることができる。しかし近年になつて,人間の能力の拡大ばかりでなく,人間の能力の代行をめざすような研究の方向が現われてきている。このような立場にたち,生体の内部的構造を探求し,工学的に実現できる形として理解していこうという研究が生まれてきた。このような研究は生体工学とよばれている。
ここでは聴覚系を工学面から眺め,いくつかの問題点についての各方面の研究成果を,新しい生理実験研究および心理物理実験研究の成果を含めつつ紹介していくことにする。
従来の工業技術は,概して人間の種々の面の能力を拡大する方向に進歩してきたといえよう。たとえば,人間の走行能力を拡大するものとして自動車,計算能力を拡大するものとして電子計算機というような例が考えられるが,このような例は他にも多く挙げることができる。しかし近年になつて,人間の能力の拡大ばかりでなく,人間の能力の代行をめざすような研究の方向が現われてきている。このような立場にたち,生体の内部的構造を探求し,工学的に実現できる形として理解していこうという研究が生まれてきた。このような研究は生体工学とよばれている。
ここでは聴覚系を工学面から眺め,いくつかの問題点についての各方面の研究成果を,新しい生理実験研究および心理物理実験研究の成果を含めつつ紹介していくことにする。
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