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文献詳細

雑誌文献

生体の科学26巻3号

1975年06月発行

文献概要

解説

IgMの構造

著者: 篠田友孝1

所属機関: 1国立遺伝学研究所人類遺伝部

ページ範囲:P.232 - P.238

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 IgMクラスの免疫グロブリンの存在は早くから知られていたが1)本格的な構造研究の対象となつたのは比較的最近のことである。このクラスの抗体は抗原刺激後早期に産出され,IgGクラスよりはやくピークに達するが,比較的短時日で代謝されてしまう。また,IgMクラスは粒子状抗原により敏感に誘発されること,細胞表層部に存在するレセプタータンパク,とりわけB細胞に属する抗体産生細胞の前駆細胞に存在する免疫グロブリン様タンパク質として興味を集めるようになつた。これらレセプタータンパクの大半は抗原的にはμ鎖系であるから,IgMあるいはIgMsそのものか,または近縁な分子種と考えられる。
 IgMはまた細菌凝集性活性,溶血活性あるいは赤血球凝集活性などがIgGクラスの抗体よりは一般に高いことが認められているが,これはIgMが5量体を形成し,多価抗体として存在していることに起因する。多価結合をすることによつて抗原との親和力が増加する結果,ごく低濃度でも他クラスの抗体と比較してより有効な生理活性を示すと考えられる。ワルデンストレムIgMの結合価は10価を示すが,免疫で得られたIgM抗体では時として5価しか示さない場合や,10価のうち強弱2群と考えられるような挙動を示す場合がある。したがつて,IgM抗体の分子内では結合親和性において不均一ではないかとの疑問も生じる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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