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文献詳細

雑誌文献

生体の科学26巻3号

1975年06月発行

文献概要

講義

骨格筋細胞における横細管系の構造と機能

著者: 石川春律1

所属機関: 1東京大学医学部解剖学教室

ページ範囲:P.259 - P.267

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 この講義の主題に入るまえおきとして,脊椎動物の運動単位の構造と機能について簡単にまとめてみましよう。運動単位は,形態学的にはひと続きの構造としてみることができ,機能的にはこれらの構造に関連しておこる一連の出来事としてみることができます(図1)。運動神経のインパルスは中枢神経系でおこり,運動神経線維(軸索)に沿つて,伝播性の活動電位として伝わります。このような活動電位のメカニズムはナトリウムイオンの流入と,神経線維からのゆつくりしたカリウムイオンの流出に基づいています。このことについては,HodgkinとHuxleyの有名な実験的および理論的分析があります。神経細胞の活動電位が運動神経終末ないしは神経筋接合部に達すると,化学伝達物質を介して,数msecで筋線維の全表面にひろがる伝播性活動電位がひきおこされます。この筋線維表面の活動電位のメカニズムも,神経細胞の活動電位のメカニズムに非常によく似ています。これについては,最近,Adrian,Chandler,Hodgkin1)による研究があります。つぎの段階は,筋線維内で電気信号が横細管系(T-system)の膜に沿つて内部へ伝わることです。私の講義のはじめの部分で,この段階の構造上の基盤に焦点を合わせてお話いたしましよう。そのつぎの部分で,横細管における電気的出来事について触れるつもりです。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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