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日本を訪れて
著者:
所属機関: 1パリ神経生理学研究センター
ページ範囲:P.275 - P.275
文献購入ページに移動 昭和49年10月より10年2月にかけて100日あまり,日本学術振興会の招へい研究員として日本に滞在する機会を得ました。以下に記すのはその間に得た私の日本に対する印象です。
日本の科学,とくに私の専門とする神経科学についていえば,日本の現状は私がこれまでアメリカおよびフランス両国で体験したところと大変に似かよつています。100日間の体験では深く分析することはできませんが,もちろん小さな差異は見出せます。とくに印象に止めたことの一つは神経科学がいまや経済大国となつた日本のもつ資力の分配を受けていないということです。現在のように世界中いたる所で経済的困難に見舞われているときにはあらゆる科学の分野が財源に苦しんでいますが,資力の減少の厳しさはその減少がどの水準から始まるかによつて大いに異なります。したがつて日本の数多くの創造的,革新的な神経科学者はその独創的な研究や着想が他の国にあつて設備も人力も,もつとよく整つた研究室に働く仲間によつてあつという間に押L進められていつてしまうのを見守るという危険に曝されているのです。
日本の科学,とくに私の専門とする神経科学についていえば,日本の現状は私がこれまでアメリカおよびフランス両国で体験したところと大変に似かよつています。100日間の体験では深く分析することはできませんが,もちろん小さな差異は見出せます。とくに印象に止めたことの一つは神経科学がいまや経済大国となつた日本のもつ資力の分配を受けていないということです。現在のように世界中いたる所で経済的困難に見舞われているときにはあらゆる科学の分野が財源に苦しんでいますが,資力の減少の厳しさはその減少がどの水準から始まるかによつて大いに異なります。したがつて日本の数多くの創造的,革新的な神経科学者はその独創的な研究や着想が他の国にあつて設備も人力も,もつとよく整つた研究室に働く仲間によつてあつという間に押L進められていつてしまうのを見守るという危険に曝されているのです。
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