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文献詳細

雑誌文献

生体の科学26巻4号

1975年08月発行

文献概要

解説

化学受容膜への陽イオンの化学吸着

著者: 吉岡亨1 河合啓子2 勝木保次3

所属機関: 1横浜市立大学医学部生理学教室 2鶴見大学歯学部生理学教室 3東京医科歯科大学

ページ範囲:P.338 - P.346

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 1968年に勝木らにより見出されたサメ側線器の陽イオンに対する反応は,その後硬骨魚,食用ガエルのオタマジャクシ,アフリカツメガエル,アメリカサンショウウオなどの側線器においてもみられることがわかり,化学受容器の存在が確立されるに至つた14)。これらの化学受容器に対しては,1価の陽イオンは例外なく刺激になるが,2価の陽イオンの効果は必ずしも簡単ではなく,動物の種類によつていろいろと異なることが判つた。このような化学受容の機構を調べるには,できるだけ発達段階の低い化学受容器を有する動物から高等動物までについてできるだけ多くのイオンに対する反応性を系統的に調べることが肝要である。このような見地に立つて,化学受容器としてはその機能の変化が追跡できるオタマジャクシの側線器が選ばれ,それに対して12種類にのぼるイオンの効果が調べられた24)。この12種類のイオンはその反応性や親和性などから四つのグループに分類されることが判り,しかもその後の研究によりイオンの分類が化学反応に対するHSAB30)(Hard and Soft Acids and Base)の概念を用いて矛盾なく説明し得ることが判つた。そこでわれわれはここでは上に述べた考えを援用しつつさらに一歩すすめて,化学受容器の陽イオン受容機構が化学受容膜への陽イオンの化学吸着として説明できないかという点に焦点をおいて述べていきたい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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