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文献詳細

雑誌文献

生体の科学26巻4号

1975年08月発行

文献概要

解説

植物細胞の脱分化と再分化

著者: 岡村昭治1

所属機関: 1富山大学薬学部生物薬品製造学教室

ページ範囲:P.347 - P.357

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 はじめに
 高等生物の増殖や分化の研究に組織培養や細胞培養が広く行なわれるようになり,理学,医学,薬学,農学の各分野にわたつて大きな成果をおさめているが,高等植物においては,約40年前に,根1)および形成層2)の試験管内培養が成功してから,培地の改良,植物ホルモンの研究の進展などに加えて,遊離細胞の液内培養と細胞のクローン化3)などの基礎的技術が開発され,組織培養,細胞培養が,種々の植物の種々の組織から得られるようになつた。後述するカルスや,植物腫瘍などの試験管内培養は,無定形の細胞塊として増殖し(図5,7),形態的にも,機能的にも原組織に比較して脱分化の進んだ組織(あるいは細胞)となつて分裂,増殖を行なう。ところが,SkoogとMiller4)は,培地中の植物ホルモン(図1)の比率を変えることによつて,タバコのカルスから,根だけ,茎だけ,あるいは葉だけを分化させることに成功し,このカルスが,もとはタバコの茎の髄から得られたものであるにもかかわらず,根や葉への分化の潜在能力をもつていたことを示した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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