文献詳細
文献概要
講義
電子顕微鏡で観察されたウイルスの構造
著者: 野々村禎昭1
所属機関: 1東京大学医学部薬理学教室 2
ページ範囲:P.359 - P.371
文献購入ページに移動私は最初のウイルスの電顕写真がとられたときのことを知つているような老人です。そしてアメリカ人なので,つい聴衆の皆さんにはききなれていないアメリカ的表現を使つてしまうことを許して下さい。さて,初期のウイルス粒子の電顕写真は小さな球状の塊(blobs)に過ぎませんでした。この言葉の意味は境界がはつきり区別できないような種類の構造のことです。いいかえれば構造といえるようなものをほとんど示していなかつた。ともいえましよう。このような事態は1944年にRalph Wyckoff博士と私がシャドーイング法を導入したことで改善されました。この方法はウイルスの三次元的外観をはつきりと示してくれたのです。
掲載誌情報