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文献詳細

雑誌文献

生体の科学26巻4号

1975年08月発行

実験講座

眼球運動の測定法

著者: 小沢哲磨1

所属機関: 1東京大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.372 - P.376

文献概要

眼球運動系は網膜像を良好な状態に保ら,質のよい情報を視中枢に送るために精巧な機構を作つており,その中枢伝導系は,手や足の運動を司る一般の錐体路とは全く異なつた特殊な構造をもつており,中枢神経系の中で大きな比率を占め,眼球運動系の解析は,臨床神経学領域においても欠くことができない。その解析の指標としての眼球運動測定の一つの方法は,眼球運動の制限を判定手段とする静的な解析方法で,たとえば外転制限があるとか,上転障害があると表現される基本的な検査方法として古くから用いられている。他の一つは眼球の動き自体を対象とする時間要素を含めた動的な解析方法であり,この方法により眼球運動系は ①衝動性眼球運動(saccadic system)
 ②滑動性眼球運動(pursuit system)
 ③前庭動眼反射(vestibular system)
 ④幅湊(vergence system)
 の4系に分類することができる1)。これらの系は独立し協調して働き眼球が巧妙に動くことができる。
 衝動性眼球運動は一つの視目標から他の視目標に視線を跳躍させる運動で,角速度は,300ないし600度/秒,持続時間は0.1秒前後と速く(図1a),運動中に網膜からの情報を利用することができないため,前もつてその方向,振幅を決めておくpreprograming方式で運動が行なわれ,その役割に小脳が大きく関与していると考えられている2)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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