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文献詳細

雑誌文献

生体の科学26巻5号

1975年10月発行

文献概要

特集 脳のプログラミング 総説

小脳室頂核刺激でトリガーされる起立性循環反応と攻撃行動

著者: 道場信孝1

所属機関: 1千葉大学医学部第一生理学教室

ページ範囲:P.408 - P.419

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 はじめに
 循環系の調節における中枢神経系の重要な機能の一つは,広く分布する心脈管系に,行動に応じて特定の反応パターンを作り出すことである。いかなる行動においても,その行動に付随した特徴的な心脈管反応のパターンがあり,これは外界からの刺激に対する統合された反射反応として現われる。このパターン化した心脈管反応は,固定した中枢プログラミングによつて遂行されるものであり,ある範囲内では常に予測される反応である。他の運動系の場合と同様に,パターン化した心脈管反応は中枢神経系内で階層的に制御されていて,その支配形式には多くの重複がみられ,精密な調節が行なわれている47)。行動に付随するパターン化した心脈管反応のもう一つの特徴は,それが行動に伴う運動の遂行と密接に結合していることである。特定の行動を開始する際に,体性機能と自律神経機能を同時に制御するcommand neuron的な機構が哺乳動物の中枢神経系内に存在するか否かは興味ある問題である。
 小脳による心脈管系の制御は古くから論じられているが,近年に至るまでその制御機構の詳細は述べられていない。運動機能に対する小脳の制御機構は,近年の著しい研究の進歩によつて次第に明らかにされている。小脳前葉は姿勢の保持のための反射弓と並列に結合されており45),これと同様の機序が心脈管系の制御でも考えられることを示唆する知見が近年になつて示された。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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