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文献詳細

雑誌文献

生体の科学26巻5号

1975年10月発行

文献概要

特集 脳のプログラミング 総説

歩行のプログラム

著者: 有働正夫1

所属機関: 1大阪大学基礎工学部生物工学科

ページ範囲:P.420 - P.432

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 はじめに
 歩行運動は古くからの研究テーマであり,歩容の観察を基礎として多くの優れた考察が生まれた。1世紀近くも以前,キモグラフィオン(煤紙)程度の記録装置しかなかつた時代の文献から深い感銘を与えられることが少なくない。今日では筋電図,中枢神経活動の記録・電算機解析など,中枢神経機構を解析する技術は画期的に進歩しており,歩行運動に関係するであろう神経回路の基本構成はすでに明らかにされており,また,本文中にのべるように歩行運動を発現している標本の中枢神経系からニューロン活動を記録する方法も開発されている。いわば歩行運動の中枢神経機構を解析する道具立てはほとんど出揃つていると思われるほどであるが,逆にこのような状況下では,過去に蓄積されたデータと,近代的手法によつて得られたデータとの関連性に十分な注意を払い,また,将来続行されるであろう研究においてよい対照となりうるような結果を残すよう研究計画を立てることが重要になつてくると考えられる。その意味で先達の足跡をたどり,われわれが立脚しうる部分と,近代的道具立てをもつて補うべき部分を考えてみたい。
 歩行をプログラムとして考えることは,歩行のメカニズムがある程度明らかになつてから可能になることであり,その意味でまず歩行の神経機構についての研究の発展過程をたどり,最後に「プログラム」の内容を考えてみたいと思う。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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