icon fsr

文献詳細

雑誌文献

生体の科学26巻5号

1975年10月発行

解説

視覚中枢入力の多元性—ネコ網膜神経節細胞の三型分類

著者: 福田淳1

所属機関: 1大阪大学医学部高次神経研究施設神経生理学教室

ページ範囲:P.442 - P.452

文献概要

 はじめに
 視覚機能には,形状認識,二点識別,などの複雑なものから,明暗識別,対光反射,あるいは対象への眼位および体位の移動など,より原始的なものまで,多くのものが含まれる。これら様々の機能が,諸視覚中枢のうちのどの部分によつて分担されているかという問題は,古くから興味がもたれてきた47)。より複雑な機能は外側膝状体—大脳皮質視覚領野で営まれ,より原始的な諸機能は,被蓋前域,上丘などの脳幹の視覚中枢で営まれる,とするのが一般の考えである56,57,68,73)。最近の研究から,これら諸視覚中枢への入力を与える数多くの網膜神経節細胞の間で,視覚中枢間にみられる機能の分化に呼応する分応が行なわれうることが明らかになりつつある。
 Cajal以来14),網膜神経節細胞には,細胞体の大きさおよび樹状突起の型,存在する部位などの異なる多種のものが,主として解剖学的研究により区別されてきた8,9,11,12,31,40,49,53,63,71)。他方,電気生理学的研究の場合,記録条件による制約から,あらゆる種類の細胞を調べあげることが困難であつた44,67)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら