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文献詳細

雑誌文献

生体の科学26巻6号

1975年12月発行

文献概要

解説

ヘモレオロジーとその周辺

著者: 東健彦1 長谷川正光1 福嶋孝義1

所属機関: 1信州大学医学部第一生理学教室

ページ範囲:P.536 - P.547

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 Ⅰ.ヘモレオロジーとは
 ヘモレオロジー(hemorhelogy)はバイオレオロジー(biorheology)の一分野であり,バイオレオロジーはレオロジー(rheology)の一分科である。レオロジーということばがはじめて用いられたのは1929年にTheSociety of Rheologyが発足したときで,命名者はE. C. Binghamである。Rheo-はギリシャ語のrhéos(=stream)に由来する。レオロジーは,「流動と変形の科学」(Bingham,1929)あるいは「流動を含む変形の科学」(Eirich,1969)と定義づけられており,したがつて物理学のみならず,化学,工学,医学,生物学,農学など多様な学問分野と関連が深い。この学際性がレオロジーの特徴の一つである。
 レオロジーにおいてはそれぞれの物質の固有の性質を反映する物質方程式(constitutive equation)──ひずみと応力,またはそれらの時間的変化率の間の関係──を重視する。すなわち,当該物質の示す力学的挙動をその構造との関連において把握しようとする。このため,一見奇異に感じられるかもしれないが当初から古典弾性論および純粋な空気力学,水力学はレオロジーの範疇に入らないものとされてきた。これらの学問は個々の物質にそれぞれ特有な変形と流動を取扱うのではなく,物質の構造特性を捨象した変形・流動の現象論だからである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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