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実験講座
心筋のプルキンエ線維における電圧固定法
著者: 平岡昌和1
所属機関: 1東京医科歯科大学難治疾患研究所循環器病部門
ページ範囲:P.555 - P.563
文献購入ページに移動 心筋電気生理学における最近のめざましい発展の一つに心筋イオン電流の解析とその研究があげられよう。心筋の活動電位が神経のそれとは異なる特有の波形を呈することは微小電極法の導入からも明らかとなり,その活動電位の基礎となるイオン電流の解析の試みに多くの研究者達が取り組んできた。これらの研究の発展は,外液イオン組成の変化,通流実験などを介して進められてきたが,1964年,当時ハイデルベルグにいたW. Trautwein一派によつて,ヒツジプルキンエ線維を用いての"電圧固定法"が導入され1),この分野の研究に新しい光を投げかけた。事実,彼らをはじめ世界のいくつかの研究室において本法を用いての研究が進み,いままで明らかにされなかつた新たなイオン電流の発見や,神経のそれとは異なる複雑な心筋イオン電流の動態が明らかにされてきた。またさらには,ショ糖隔絶法(sucrose gap method)を用いての"電圧固定法"が心室筋や心房筋にも適用されて,この分野の研究が一段と活況を呈するに至つたのである。
しかしながら,心筋組織の構造上の特徴から本法には技術上の制約も多く,そのために本法を用いた実験結果およびそれに基づくイオン電流の存在・解釈などに対してきびしい批判があげられるにいたつている2)。
しかしながら,心筋組織の構造上の特徴から本法には技術上の制約も多く,そのために本法を用いた実験結果およびそれに基づくイオン電流の存在・解釈などに対してきびしい批判があげられるにいたつている2)。
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