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実験講座
電子顕微鏡所見の定量化
著者: 黒住一昌1
所属機関: 1群馬大学内分泌研究所形態部
ページ範囲:P.79 - P.87
文献購入ページに移動 形態学が生物学の他の分野に比べて,とかく時代遅れの名人芸のように見なされるのは,常人にはとうてい作れないような精巧な標本や,美しく仕上げられた電子顕微鏡写真などが珍重され,そのような写真や標本が,生物のどのような機能を反映しているかを度外視して,とにかく優れた研究であると称せられている事情から当然の帰結であるように思われる。形態学が生体の形を問題とする以上,試料の作成技術が悪くて,その形が著しく変形したり,消失してしまつたような材料をもとにした議論はもちろん無意味である。しかし優れた形態学的技術によつて,よく保存された試料について,生体の機能を類推し,議論するならば,大へん意味の深い結論が導き出されるであろうし,そのような研究は生理,生化学領域の学者にとつても,非常に有力な証拠を提供するものとなろう。そしてそのような研究成果は,単にきれいな写真などを提示するだけにとどまらず,そこに現われている事象を正確に記録し,異なつた実験条件下に現われる結果と比較検討することを可能にするために,その所見を数値をもつて表現することが望ましい。しかし,このような形態学的所見の定量化はかなり困難である。
そこで形態学的所見の定量化(計測)にあたつて,何を測るかがまず問題になる。これを決めるためには,現在使用可能な方法で,何が測れるか,つぎにその形態(構造)を特徴づけるものは何か。
そこで形態学的所見の定量化(計測)にあたつて,何を測るかがまず問題になる。これを決めるためには,現在使用可能な方法で,何が測れるか,つぎにその形態(構造)を特徴づけるものは何か。
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