icon fsr

文献詳細

雑誌文献

生体の科学27巻2号

1976年04月発行

文献概要

特集 分泌腺 総説

分泌腺の物質輸送

著者: 今井雄介1

所属機関: 1大阪医科大学第一生理学教室

ページ範囲:P.123 - P.133

文献購入ページに移動
 はじめに
 細胞はその機能を維持し,自己を存続させるために常に物質を取り込み,かつ放出している。したがつてすべての細胞にとつて分泌と吸収の機能は基本的なものといえる。今回の主題である分泌腺は単に自己存在のためのみでなく生体の他の部分にとつて必要な物質を輸送するように分化発達した組織である。したがつて,その輸送速度は著しく高い。一方,神経またはホルモンの制御を受けて物質輸送をするという特徴をもつている。物質は血液側より取り込まれ,腺腔側に放出される。この方向性ある輸送も特徴の一つとなる。分泌腺で輸送される物質は水溶液の形で起こる。したがつて分泌腺においては水輸送は基本的な機能であるといえる。ことに唾液腺,汗腺,涙腺などでは水そのもののもつ生理学的役割が大きい。胃,膵では酸,アルカリといつたイオンが大きな役割をもつ。溶解蛋白が重要な働きをもつことはいうまでもないが,これとて水輸送に伴うものとみることができる。水輸送はイオン輸送と切り離しては考えることができないものであり,今回の論文ではこの二つを主題とした。
 輸送についてはその他制御に関係してアセチルコリン,カテコラミンおよびそれらの受容器の問題21),制御物質としてのCa++の役割など10,15,26)は重要な問題であり,一方,蛋白合成,腺細胞の超微小形態6)にも諸問題があるが今回は省略した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?