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文献詳細

雑誌文献

生体の科学27巻2号

1976年04月発行

文献概要

特集 分泌腺 総説

分泌腺の細胞間結合

著者: 菅野義信1

所属機関: 1広島大学歯学部生理学教室

ページ範囲:P.134 - P.142

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 はじめに
 光学顕微鏡にのみ頼つていた組織学の時代にも,上皮組織の表面近くには,細胞表面を帯状に取り囲み,タイルの間に詰めたセメントのメジのように,細胞を相互に強く結合させる構造の存在が記載されている。その他,細胞間橋などの細胞間特殊構造に関する所見は筆者らの学生時代の組織学実習においても取り扱われていた。しかし,細胞間接着部にみられる形態学的特徴が,細胞表面の特殊構造として,接着装置複合体(junctinonal complex)という名で体系的に記載されたのはそう古いことではない1)。この構造については,複合体という名で呼ばれているように,数種の結合形式が明らかにされており,これら結合形式の細胞や組織ひいては生体における機能的意義が何であるか興味がもたれてきた。一方,当時の一部の生理学者の間で,組織によつてはその中の細胞と細胞が非常に低い電気的抵抗で結合し,あたかも組織全体が電気的には1個の細胞のようにみえる事実が見出ざれていた。このような細胞間の電気的低抵抗結合が最初に見出されたのはショウジョウバエの唾液腺を用いた実験によつてであつたが2),その後,後述するように,多くの組織においてこの種の電気的細胞間結合が明らかにされており,したがつて,細胞間結合といつても,形態的あるいは機械的結合を指すのか,それとも,電気的低抵抗結合を指すのかを明確にしておかなくては混乱をきたすことになる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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