文献詳細
解説
文献概要
昆虫のホルモンの研究は,マイマイガの幼虫を材料として行なわれたKopeé(1922)にはじまる1)。この研究で幼虫の脳は変態ホルモンを分泌するという結論が提出された。しかし,なおその後,昆虫に果たしてホルモンが存在するかどうかの問題が追求され,血液移注や移植などの実験が行なわれて,その存在が確かめられた。やがて変態に関与するホルモンの分泌腺とその役割についての研究が進められ,発生を支配するホルモン機構の大綱が明らかにされた。これに伴つて次第に研究範囲が拡大され,休眠,卵の成熟など多方面にわたつて,ホルモンの重要な役割が明らかにされてきた。また,一方においてホルモンの生化学的研究が行なわれ,前胸腺のホルモンがエクジソンとして最初に抽出され,ついでアラタ体のホルモンが純粋物質として得られ,それらの構造が明らかにされて,合成が行なわれ,ホルモンの細胞に対する作用機構の研究が行なわれるようになつた。
したがつて,発表される論文の内容は多岐にわたり,その数ははなはだ多い。この小文では,いくつかの項目について,主な研究のあらすじをざつと通覧することとする。
したがつて,発表される論文の内容は多岐にわたり,その数ははなはだ多い。この小文では,いくつかの項目について,主な研究のあらすじをざつと通覧することとする。
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