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特集 生体と化学的環境 総説
細菌における環境と炭素代謝
著者: 石本真1
所属機関: 1北海道大学薬学部微生物薬品化学教室
ページ範囲:P.182 - P.191
文献購入ページに移動 生物の生活,生命の維持は本質的に環境から切り離すことができない。それは生命が基本的に物質代謝,外界との物質交換に依存して成立しているからである。代謝過程は外見上栄養と排泄の形で表われるが,その背後に生体内の物質変化の総体,すなわち生命過程が存在している。
生体内の諸過程,とくに生体構成物質の合成は,栄養物の供給が一定に維持されれば,体外の状況に多かれ少なかれ無関係に進行する。とくに多細胞生物,高等動物の場合は,内部環境は一定に保たれ,その中で各組織の細胞は一定の生活と機能を行なう。とくに人間の場合は栄養と他の環境要素とが明確に切り離され,異なつた要素として生活に対する影響が問われる。しかし,微生物の場合,単細胞生物として各細胞は直接外界に接し,ある程度細胞内の恒常性を維持し,環境のある幅の中で生きる手段をもたなければならない。栄養を他の環境因子から切り離すことも困難である。
生体内の諸過程,とくに生体構成物質の合成は,栄養物の供給が一定に維持されれば,体外の状況に多かれ少なかれ無関係に進行する。とくに多細胞生物,高等動物の場合は,内部環境は一定に保たれ,その中で各組織の細胞は一定の生活と機能を行なう。とくに人間の場合は栄養と他の環境要素とが明確に切り離され,異なつた要素として生活に対する影響が問われる。しかし,微生物の場合,単細胞生物として各細胞は直接外界に接し,ある程度細胞内の恒常性を維持し,環境のある幅の中で生きる手段をもたなければならない。栄養を他の環境因子から切り離すことも困難である。
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