文献詳細
文献概要
特集 生体と化学的環境 総説
寄生適応よりみた回虫のエネルギー代謝
著者: 大家裕1 林久子1
所属機関: 1順天堂大学医学部寄生虫学教室
ページ範囲:P.202 - P.214
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自然界でそれぞれ独立した生命をもち,独自の生活を営んでいる生物は,また一方ではその生態学的な環境に応じて,他の生物と深いかかわりあいをもちつつ生活している。寄生現象(parasitism)というのもこのようなかかわりあいの一つに他ならない。寄生生活を営む生物は,小はウイルス,リケッチャ,細菌そして原生動物から,大は多細胞動植物にいたるまで,きわめて広い分類範囲にわたつているが,外部寄生虫—Ectoparasite,内部寄生虫—Endoparasiteと二大別されるこれら寄生生物のうちで,とくに後者は,自由生活生物との対比において,二種の異なつた生物が一方の生体という枠の中で互いに環境となりあうところに成立する「二重の生物学」的対象として1)興味をそそられる。
われわれが通常寄生虫(parasite)という呼び名の中に含める寄生生物のグループは,単細胞動物である原虫類と多細胞動物である蠕虫類†を主体としている。
自然界でそれぞれ独立した生命をもち,独自の生活を営んでいる生物は,また一方ではその生態学的な環境に応じて,他の生物と深いかかわりあいをもちつつ生活している。寄生現象(parasitism)というのもこのようなかかわりあいの一つに他ならない。寄生生活を営む生物は,小はウイルス,リケッチャ,細菌そして原生動物から,大は多細胞動植物にいたるまで,きわめて広い分類範囲にわたつているが,外部寄生虫—Ectoparasite,内部寄生虫—Endoparasiteと二大別されるこれら寄生生物のうちで,とくに後者は,自由生活生物との対比において,二種の異なつた生物が一方の生体という枠の中で互いに環境となりあうところに成立する「二重の生物学」的対象として1)興味をそそられる。
われわれが通常寄生虫(parasite)という呼び名の中に含める寄生生物のグループは,単細胞動物である原虫類と多細胞動物である蠕虫類†を主体としている。
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