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文献詳細

雑誌文献

生体の科学27巻3号

1976年06月発行

文献概要

解説

中枢神経系におけるGADの酵素ラベル抗体法による局在

著者: 松田友宏1

所属機関: 1大阪大学医学部薬理学教室

ページ範囲:P.225 - P.232

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 はじめに
 ニューロンの神経終末部から神経刺激に対応して細胞外(シナプス間隙)に遊離された伝達物質は,シナプス伝達直後にすみやかに不活性化される。この不活性化機構は伝達物質の種類により異なるが,遊離された伝達物質の拡散,周囲組織への取込み,代謝などからなつている。いずれにせよ,遊離された伝達物質の再利用は完全ではない。したがつて,シナプス伝達が効果的に行なわれるためには,遊離される伝達物質がニューロン,とくにその神経終末部において活発に合成されなければならないことになる。これが,ある物質が神経刺激伝達物質であるための重要な条件の一つとして"ニューロンがその合成酵素を有すること"があげられる理由である。事実,種々の神経系において伝達物質の合成酵素がニューロンの作働性のマーカーとなることが実証されつつある1)
 さて,GAD(グルタミン酸脱炭酸酵素;glutamic acid decarboxylase;EC 4.1.1.15)は高等動物の中枢神経系において抑制性伝達物質の一つであると考えられているガンマアミノ酪酸(gamma-aminobutyric acid;GABA)を合成する酵素であり,高等動物では中枢神経に特異的に存在し,かつシナプス伝達の場である神経終末部に濃縮されていることが細胞内分画法により明らかにされてきた2,3)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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