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文献詳細

雑誌文献

生体の科学27巻4号

1976年08月発行

文献概要

解説

最近の制御理論と情報理論の進歩

著者: 有本卓1

所属機関: 1大阪大学基礎工学部機械工学科

ページ範囲:P.306 - P.313

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 はじめに
 制御理論は1960年を境にして変わつたといわれる。単入出力のフィードバック制御理論から多入出力を有するシステム理論へ,そして,同じ線形系の解析やシンセシスを扱う方法にしても,周波数応答法から状態変数法へと興味の中心が移つたといわれる。前者の理論体系は総称して古典制御理論(classical control theory)と呼ばれ,後者は近代制御理論(modern control theory)と呼ばれるようになつた。その変化の主要因を二つあげると,一つは,1958〜1961年頃発表され,Pontrjagin25)を指導者とするソ連学派の提唱した最大原理であり,他の一つは,同時代にアメリカのKalman16〜19)によつて発表された可制御性と可観測性の概念であろう。
 1960年代の制御理論の論文は,良かれ悪しかれ,PontrjaginかKalmanのどちらかを参照するか,あるいは,何らかの意味で意識するかして書かれたといつても過言ではない。しかも,1950年代後半に始つた米ソの人工衛星打上げ競争とアポロ計画の推進のために,多数の制御技術者と研究者が動員され,彼らはこれら新しい理論の発展と応用を競つたのである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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