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ゲッチンゲンとマックスプランク生物物理化学研究所
著者: 大沢一爽1
所属機関: 1東京大学医学部第二生理学教室
ページ範囲:P.335 - P.339
文献購入ページに移動ベェッセルとライネ川支流のゆるやかな地形に位置し,ゲーテのファストに登場するHarz山の丘陵に街があつて四面が大きな林に囲まれている。西ドイツの林には林道があり,四季を通じて(雪のちらつく厳冬期ですら)ドイツ紳士が森の中を歩く姿は印象的である。針葉樹の景観を縫う散策コースには,日本の盆栽的感覚は全くみられないが,auto ahnの動に対して静の対称物ともなつている。何十年もかかつて公共の場を森林に獲得できたのはドイツの国民性が示した森林技術と自然保護のよみによる文化の所産である。西ドイツの科学のとらえ方を示唆している一つであろう。西ドイツ全土がゆるやかな斜面と連続した曲面をもつ典型的な地形に,このような牧草と森林があつた。ゲッチンゲンもその例にもれず,約70年前に渡欧した永井潜氏(東大・医・生理・名誉教授)はここにゲッチンゲンのドイツ語を『月沈原』と訳された(図1)。誠に妙を得ている意味と響きがある。月沈原は東にベルリン,西にボン,北にスカンジナビア,南はフランクフルトと続き,古代はGodingまたは,Gutingi Villageと称したのが,月沈原になつたようである。
1212年,すでに自治制となり中世にはHanseatic同盟を作つたが,それも長続きせず30年戦争でその隆盛は衰え,プロテスタントにとつてかわつた。
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