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文献詳細

雑誌文献

生体の科学27巻5号

1976年10月発行

特集 遺伝マウス・ラット

総説

黄疸ラット

著者: 沢崎嘉男1

所属機関: 1東京医科歯科大学難治疾患研究所遺伝生化学教室

ページ範囲:P.389 - P.395

文献概要

 はじめに
 新生児の重症黄疸の際,神経系がとくに障害を受け,重篤な神経症状や知能障害を引き起こすことは,核黄疸(bilirubin encephalopathy)として知られ,Rh不適合などの場合に問題となる。このようなbilirubinの選択的な神経細胞毒性に関しては古くから研究されているが6,16,20),その機序については未だ明らかではない。しかし,方法論的にみれば,本来この領域は大きな利点に恵まれていたはずであつた。というのも,他の疾患とは異なり,当初から高bilirubin血症のモデル動物が存在していたからである。ところが,この黄疸ラット—Gunnラット—は知名度が低く,最近まで利用されることが少なかつた。
 Gunnラットは,1934年Gunnによつて発見された常染色体劣性遺倭性の高bilirubin血症を呈するWistarラットのmutantである11)。その病因は長く不明であつたが,1950年代後半のbiiirubin代謝の解明に伴い,肝臓のbilirubin排泄酵素,UDP-glucuronyltransferaseの遺伝的欠陥にあることが報告された18,25)。すなわち,ヒトのCrigler-Najjar症候群にあたる変異である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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