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文献詳細

雑誌文献

生体の科学27巻6号

1976年12月発行

文献概要

講義

横紋筋の構造と機能における諸問題

著者:

所属機関: 1

ページ範囲:P.457 - P.467

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 当時ハンガリーにいたAlbert Szent Gyögyiがその研究グループと共に,筋の収縮性素子が二つのタンパク質,アクチン(actin)とミオシン(myosin)からなる複合体であることを発見してから,わずか30年ほどしかたつていません。それ以来今日までに,しかもかなりの部分が江橋教授とその共同研究者たちによりまして,筋の分子生物学および生化学の分野できわめて顕著な発展がみられております。しかしながらこれらの分野での知見と,形態的に無傷な筋線維の生理的活動との間の関連については,大部分が推測の域にとどまつております。多くの細胞内構造,たとえば筋小胞体SR,トロポニン(troponin),トロポミオシン(tropomyosin)それから多分まだ他のものも同様に,筋の収縮活動の過程に参加し,そしてこれを複雑にしていると考えられます。さらに筋形質膜および横行小管系(Tシステム,TTS)が選択透過性の膜として働く性質や,Tシステムが深く筋線維内へ入りこんでいることも,これらの細胞内構造に対して実験的操作を加えることを難しくしております。
 約20年ほど前,名取教授は筋形質膜の一部をオイルの中で取り除き,こうして"はだかにされた(skinned)"部分で筋線維の内部に到達できることを示しました。しかしこのような標本は,オイル中に保ちながら溶液を交換することがやや難しいために,広く使われるにはいたりませんでした。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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