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特集 生体の科学の現状と動向 総説
神経解剖学—ニューロン連絡研究の現状
著者: 水野昇1
所属機関: 1京都大学医学部解剖学教室
ページ範囲:P.12 - P.21
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神経解剖学を定義することは次第に難しくなってきている。さしあたりわれわれは解剖学を「形態原則を究明し,また,機能の坦体としての形態を具象的に把握し分析することを目的とする生命科学の一分野である」と考えている。しかし,神経解剖学という呼び方で統括される生命科学の分野はきわめて広く,その境界は方法論の発展とともに次第に膨張的に不明確化されつつある。
昭和50年に東京で開催された第10回国際解剖学会においても神経解剖学の演題が最も多数を占めた。このように神経解剖学の領域は広範囲にわたり,ニューロンの分化・シナプスの発生・可塑性・再生・軸索内輸送・シナプス受容物質など重要なトピックも多いが,ここではわれわれがこれまで最も力を注いできた分野である中枢神経線維連絡ないしニューロン連絡の形態学的研究についてその「流れ」を概観するにとどめざるを得ない。
神経解剖学を定義することは次第に難しくなってきている。さしあたりわれわれは解剖学を「形態原則を究明し,また,機能の坦体としての形態を具象的に把握し分析することを目的とする生命科学の一分野である」と考えている。しかし,神経解剖学という呼び方で統括される生命科学の分野はきわめて広く,その境界は方法論の発展とともに次第に膨張的に不明確化されつつある。
昭和50年に東京で開催された第10回国際解剖学会においても神経解剖学の演題が最も多数を占めた。このように神経解剖学の領域は広範囲にわたり,ニューロンの分化・シナプスの発生・可塑性・再生・軸索内輸送・シナプス受容物質など重要なトピックも多いが,ここではわれわれがこれまで最も力を注いできた分野である中枢神経線維連絡ないしニューロン連絡の形態学的研究についてその「流れ」を概観するにとどめざるを得ない。
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