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特集 生体の科学の現状と動向 総説
生体膜—膜研究の現状
著者: 池上明1
所属機関: 1東京大学理学部物理学教室
ページ範囲:P.37 - P.42
文献購入ページに移動 「生体膜研究の現状」を書けと編集者から依頼されて数カ月になる。いま締切がきて気軽に引受けたことをいささか後悔している次第である。この機会に少し勉強をと思ったのが間違いのもと,生体膜といった広い分野の研究の現状を紹介するなど,筆者などには初めから無理な話である。筆者が膜に興味をもったのはかなり古いが,それは外野席でのこと,外野席を下りて,とにもかくにも草野球を始めたのはほんの数年前である。それがプロ野球を論するなど思い上りもはなはだしいわけである。編集者があえて筆をまわしてきた意図を勝手に解釈すれば,それはむしろ筆者がずぶの素人で,高校野球にもプロ野球にも関与していなかったという点ではなかろうか。とにかくこの際勝手に解釈させていただいて,いままでタンパク質など生体高分子の物性的な研究をしてきた一研究者から見た「膜研究の現状」を述べさせてもらう。したがって取り上げる内容は当然かたよっていると考えていただきたい。不勉強で耳学問の部分も多いから,内容の正確さもあまり保証できないし,文献も網羅的ではない。これらの点をあらかじめおことわりしておいて話を進めたい。
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