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上丘の構造
著者: 大谷克巳1
所属機関: 1千葉大学医学部第三解剖学教室
ページ範囲:P.117 - P.124
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中脳の天井は,上丘と下丘と呼ばれる2対の高まりからできている。これらのうち,上丘は視覚性,下丘は聴覚性の身体反射中枢とされてきた。上丘が視覚性身体反射中枢といわれるようになった解剖学的根拠は,これが多量の視神経線維を受け,他方,身体運動のために視蓋脊髄路を投射するということにあるらしい。また,視神経線維の他の重要な終止核である外側膝状体が,大脳皮質の視覚領と相互的な結合関係をもちながら,脳幹および脊髄に投射しないことも理由にされている。最近になって,上丘はgrasp reflex, orienting responseないしsensorimotor transformationのモデルとして,生理学的にも注目を集めるようになってきたが,他方,その構造についても再び関心が寄せられるようになってきた。
中脳の天井は,上丘と下丘と呼ばれる2対の高まりからできている。これらのうち,上丘は視覚性,下丘は聴覚性の身体反射中枢とされてきた。上丘が視覚性身体反射中枢といわれるようになった解剖学的根拠は,これが多量の視神経線維を受け,他方,身体運動のために視蓋脊髄路を投射するということにあるらしい。また,視神経線維の他の重要な終止核である外側膝状体が,大脳皮質の視覚領と相互的な結合関係をもちながら,脳幹および脊髄に投射しないことも理由にされている。最近になって,上丘はgrasp reflex, orienting responseないしsensorimotor transformationのモデルとして,生理学的にも注目を集めるようになってきたが,他方,その構造についても再び関心が寄せられるようになってきた。
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