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文献詳細

雑誌文献

生体の科学28巻3号

1977年06月発行

文献概要

特集 神経回路網と脳機能 総説

神経回路網の構成

著者: 水野昇1

所属機関: 1京都大学医学部解剖学第一講座

ページ範囲:P.143 - P.158

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 はじめに
 ニューロン・ネットワーク(neuron-network)は中枢神経系の情報処理機能を直接的に担う構造である。しかし,この構造についての知見はいまもってはなはだ不十分である。巨大な数にのぼるニューロンの連絡関係において,どこまでの規則性・固定性が存在するのか。また,ランダムな過程がどの程度までどのようにニューロン・ネットワークの成立に係わるのか。これらの問いには,再構成(reorganization)・再生(regeneration)・可塑性(plasticity)・学習・記憶などといった中枢神経系の"謎"に向って形態学的な側面から肉迫しようとする意志が内含されているはずである。
 中枢神経系すなわちニューロンの集合をどのように取り扱うかに関して,「神経回路」という語にはすでに一つの立場が主張されている。それは,脳をオートマトンのように見なして全体的に取り扱うのではなく,ニューロン・ネットワークのなかから機能的な意味をもつニューロン連鎖を抽出し,このようなニューロン連鎖,すなわち神経回路の組合せとして中枢神経系を理解しようとする立場である。このような回路は形態学的なアプローチに際してはまず何らかの意味で"目立つ"神経線維の集合,すなわち「神経路」として現われ,一方,それらの神経路が構成する"線"によって結ばれる"点"が神経細胞体の集合部位すなわち「核」として捉えられる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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