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特集 神経回路網と脳機能 総説
運動の統御機構—相反性神経支配をめぐる一断章
著者: 田中勵作1
所属機関: 1東京都神経科学総合研究所病態神経生理学部門
ページ範囲:P.170 - P.176
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運動の統御機構を論じようとする場合,対象はきわめて多面的かつ有機的でありながら,これまでの私達の得た成果は局地的かつ不連続的であるにとどまり,その総括は至難の業である。
図1は,運動の実行と調節に関係していると考えられている構造とその機能的連絡を大まかに図式化したものである。運動司令は大脳より発し,最終出力機関のある脊髄へ直接にまた大脳基底核・脳幹諸核を経由して間接的に下行する。一方,運動の進行に応じて時々刻々変化してゆく末梢からの感覚情報は,脊髄・脳幹さらに上位レベルへと重層的にフィード・バックされる。小脳がこれら下行系・上行系の上位レベルで平行的に挿入され,運動調節に重要であることを強調している。
運動の統御機構を論じようとする場合,対象はきわめて多面的かつ有機的でありながら,これまでの私達の得た成果は局地的かつ不連続的であるにとどまり,その総括は至難の業である。
図1は,運動の実行と調節に関係していると考えられている構造とその機能的連絡を大まかに図式化したものである。運動司令は大脳より発し,最終出力機関のある脊髄へ直接にまた大脳基底核・脳幹諸核を経由して間接的に下行する。一方,運動の進行に応じて時々刻々変化してゆく末梢からの感覚情報は,脊髄・脳幹さらに上位レベルへと重層的にフィード・バックされる。小脳がこれら下行系・上行系の上位レベルで平行的に挿入され,運動調節に重要であることを強調している。
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