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文献概要
特集 微小管の構造と機能 総説
細胞運動と微小管—細胞分裂を中心に
著者: 藤原敬己1
所属機関: 1ハーバード大学医学部解剖学教室
ページ範囲:P.242 - P.257
文献購入ページに移動 はじめに—細胞運動と線維構造
「動く」ということは,生物と無生物を区別する場合よくあげられる性質の一つである。生物の動きを研究する立場にはいろいろあり,個々の細胞やその一部の運動を取り扱う細胞運動の研究はもちろん,生物体全体を扱う個体の運動,さらには,個体が集まって作る集団の運動などがある。この総説では細胞運動のうちで,微小管が関係していると考えられている運動系を取り上げ,現在までの研究成果を簡単にまとめてみることにする。
細胞運動の研究の歴史は古いにもかかわらず,運動機構がかなり明確にわかっているものは,骨格筋の収縮と鞭毛・線毛の運動以外にほとんど見当らない。もちろんこのことは生物学者の怠惰や興味不足に由来するものではなく,問題のむつかしさや科学技術的手段の限界を反映している。
「動く」ということは,生物と無生物を区別する場合よくあげられる性質の一つである。生物の動きを研究する立場にはいろいろあり,個々の細胞やその一部の運動を取り扱う細胞運動の研究はもちろん,生物体全体を扱う個体の運動,さらには,個体が集まって作る集団の運動などがある。この総説では細胞運動のうちで,微小管が関係していると考えられている運動系を取り上げ,現在までの研究成果を簡単にまとめてみることにする。
細胞運動の研究の歴史は古いにもかかわらず,運動機構がかなり明確にわかっているものは,骨格筋の収縮と鞭毛・線毛の運動以外にほとんど見当らない。もちろんこのことは生物学者の怠惰や興味不足に由来するものではなく,問題のむつかしさや科学技術的手段の限界を反映している。
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