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特集 小胞体 総説
小胞体の発見
著者: 渡辺陽之輔1
所属機関: 1慶応義塾大学医学部病理学教室
ページ範囲:P.318 - P.321
文献購入ページに移動 小胞体(endoplasmic reticulum)は広く各種の細胞に分布する細胞質内の膜性小器官である。基本的には膜とそれにかこまれた腔よりなっているが,その形は変化に富んでおり,嚢状,小胞状(vesicular)ないし管状の形をとり,これらが互いに連絡して,細胞質内に水路系を形成している。本特集においては小胞体に関する最新の知見が述べられているが,ここでは小胞体の発見から,その概念の確立に到るまでの歴史的経過をかえりみたい。
光顕的細胞学においては,細胞質内のミトコンドリア,葉緑体,ゴルジ装置,中心小体などの有形形質は均質性のゲルないしゾル体の礎質すなわちhyaloplasmの中に浮遊していると考えられていた。電子顕微鏡の使用により,従来望むべくもなかった高解像力が得られるようになり,小器官の微細構造が明らかにされると同時に,hyaloplasmの中にも新たな小器官が発見された。小胞体もその一つである。
光顕的細胞学においては,細胞質内のミトコンドリア,葉緑体,ゴルジ装置,中心小体などの有形形質は均質性のゲルないしゾル体の礎質すなわちhyaloplasmの中に浮遊していると考えられていた。電子顕微鏡の使用により,従来望むべくもなかった高解像力が得られるようになり,小器官の微細構造が明らかにされると同時に,hyaloplasmの中にも新たな小器官が発見された。小胞体もその一つである。
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