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特集 小胞体 総説
滑面小胞体
著者: 山元寅男1
所属機関: 1九州大学医学部解剖学教室
ページ範囲:P.322 - P.334
文献購入ページに移動電子顕微鏡が生物学の分野に導入されるようになってから,細胞の内部構造について,それまでの光学顕微鏡的研究では予想もつかなかった構造物がつぎつぎと発見されてきた。その一つに小胞体(endoplasmic reticulum)がある。
1945年,まだ今日見られるような超薄切片技法の開発されていない時期に,Porterと彼の協同研究者は培養線維芽細胞の伸展標本を電子顕微鏡で観察し,その細胞質に小管構造がレース様細網構造をとって存在することを発見した1)1)。そして,その網構は,細胞質の表層部にではなくその内側部にのみ存在することから,細胞の内形質(endoplasm)に存在する細網構造という意味で,endoplasmic reticulumと名付けた1)。このことが,小胞体研究のはじまりである。
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