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文献詳細

雑誌文献

生体の科学28巻5号

1977年10月発行

文献概要

特集 小胞体 総説

粗面小胞体の生化学

著者: 高木正道1

所属機関: 1東京大学農学部農芸化学科

ページ範囲:P.335 - P.349

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 はじめに
 粗面小胞体(rough-surfaced endoplasmic reticulum=RER)は滑面小胞体(smooth-surfaced endoplasmic reticulum=SER)にタンパク質合成の場であるリボゾーム,ポリゾームが結合したものである。特殊な細胞を除きほとんどすべての真核細胞にみられる構造であり,また逆に前核細胞にはみられないものである。生化学的研究のために欠くことのできない手段としての細胞破壊の際に,ERは切断され,遠心法による分画でミクロゾーム画分(microsomal fraction)に集められる。このミクロゾーム画分は超遠心することによりはじめて沈殿する画分であり,SERとRERの切片を含むが(遊離のリボゾームやポリゾームもまたくるが),このうちRERの切片のみを対象とする場合にはrough microsomal fractionという言葉を用いることもある。すなわち細胞内でのSERとRERがそれぞれ切断され,smooth microsomeとrough microsomeとして得られることになる。本稿では,これら切断された後の構造をも含めてSERとRERという言葉を用いたい。
 "RERの生化学"として取り扱う範囲を決めることは難しい。個々の研究者,著者によって当然異なるであろう。これは,SERとRERの膜自体の差異が十分に分っていないことによる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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