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文献詳細

雑誌文献

生体の科学28巻5号

1977年10月発行

文献概要

特集 小胞体 総説

小胞体膜の生化学

著者: 今井嘉郎1

所属機関: 1大阪大学蛋白質研究所生理機能部門

ページ範囲:P.350 - P.361

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 はじめに
 細胞を機械的に破砕すると,細胞内網目状構造物である小胞体(endoplasmic reticulum)は破壊され,その破片は小胞化する。この小胞体破片は細胞ホモジェネートを遠心分画したとき,高い遠心力で沈降する微小顆粒集団の主成分として回収され,ミクロソーム(microsome)と呼ばれている1)。小胞体のin vitroでの生化学的研究はおおむねミクロソームを材料として行われており,細胞内にもともとある姿でではなく断片化したものについて調べているので,問題により一定の限界は避けられないが,小胞体膜の構造と機能を明らかにするうえで大きく貢献してきた。このような経過から,小胞体膜の生化学を扱う本稿では,細胞内にもともとあるものと,断片化してから単離したものとをとくに区別しないで,小胞体という名称で呼ぶことにする。
 表面にリボソームの付着している粗面小胞体と付いていない滑面小胞体とは,リボソーム(d≒1.6g/cm3)に基づく両者の密度の違いを利用して分離できる2,3)。すなわち,滑面および粗面小胞体はショ糖溶液中でそれぞれd=1.10〜1.18および1.22〜1.27であるので,細胞ホモジェネートよりミトコンドリアなどの大顆粒成分を遠心除去した上清を1.3Mショ糖溶液に重層して遠心分離すると,滑面小胞体は界面に留まるのに対して,粗面小胞体は沈降する***

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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