文献詳細
文献概要
講義
伝達物質の放出とシナプス小胞仮説の現状
著者: 高橋智幸1
所属機関: 1東京医科歯科大学医学部薬理学教室 2
ページ範囲:P.363 - P.375
文献購入ページに移動 ただいまは大変過分な御紹介にあずかりましてありがとうございます。この第50回の薬理総会に講演者としてお招きいただき,大変光栄に思っております。ことに私は,自分自身,薬理学者であるとはいい難いわけでありまして,はじめは,私の友人であり恩師であるA. V. Hill教授によって電気生理学の手ほどきをうけ,生物物理学者として育てられたのであります。しかし,後にはSir Henry Daleの発見と業績に感化を受け,薬理学に親しみを感じるようになりました。私が,はじめの方向から転じてシナプス伝達,ことに私の研究生活の大部分を占める,神経筋接合部の研究を行うに至りましたのは,全く,Dale氏の仕事に負うところが多く,深く感謝しております。それで,友人であり,共同研究者であるPaul Fatt,del Castillo,そして,最近の20年間はRicardo Milediとともに,電気生理の技術,微小電極,生物物理的なアイデアなどを使って,神経筋接合部における残された謎を探り,それによってDale氏から受けた知的恩恵に報いたいと努力してきたわけであります。
さて,それでは,過去に私達が得た知見の中から,いくつかを述べたいと思います。はじめに,1950年に,Paul Fattと私は,ある事実を観察いたしました。私にとって,これは,いまなお興奮さめやらない事実であります。はじめのスライドをお願いします(図1参照)。
さて,それでは,過去に私達が得た知見の中から,いくつかを述べたいと思います。はじめに,1950年に,Paul Fattと私は,ある事実を観察いたしました。私にとって,これは,いまなお興奮さめやらない事実であります。はじめのスライドをお願いします(図1参照)。
掲載誌情報