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研究のあゆみ
日本における化学伝達物質の研究
著者: 大塚正徳1
所属機関: 1東京医科歯科大学医学部薬理学教室
ページ範囲:P.376 - P.385
文献購入ページに移動 「日本における化学伝達物質の研究」と題しまして,この分野を歴史的に総説する機会を与えられましたことを大変光栄に思っております。化学伝達物質に関する研究は,長い歴史をもち,薬理学の中でも広範な領域でありまして,その中にはわが国の薬理学者によって行われた数多くの重要な発見が含まれているのであります。そのすべてをここで述べることは時間的に無理かと思われますので,今回はとくに私が個人的に興味をもっております「伝達物質の同定,確立」を中心に述べたいと老えております。したがいまして伝達物質の作用,代謝,組織化学などについては比較的不十分になるかと思いますが,あらかじめ御了承いただきたいと思います。また現在活発に進展している分野につきましては,各研究者の方々から直接うかがうチャンスが多いかと思いますので,すでに比較的過去のものとなった研究に重点をおきたいと考えております。
最初に化学伝達学説のおこりからまず始めたいと思います。化学伝達学説は1904年つまり明治37年,Cambridgeの医学生でありましたElliott1)によって提唱されたのが最初とされておりますが,その重要なきっかけを与えたのがわが国の高峰譲吉博士のadrenalineの単離であります。図1は高峰博士の幼年時代を示したものでありまして,右から2番目が高峰譲吉博士であります2)。
最初に化学伝達学説のおこりからまず始めたいと思います。化学伝達学説は1904年つまり明治37年,Cambridgeの医学生でありましたElliott1)によって提唱されたのが最初とされておりますが,その重要なきっかけを与えたのがわが国の高峰譲吉博士のadrenalineの単離であります。図1は高峰博士の幼年時代を示したものでありまして,右から2番目が高峰譲吉博士であります2)。
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