文献詳細
解説
文献概要
どんな先進的な学問分野でも,確立して一定の時間がたつうちには一つの形を整えてくる。よくいえば一つの斉合した学問体系をなしてくる。悪くいえば「体制化」してくる。生命の起源研究も,Oparinによる最初の試行的な発言から(1924)半世紀,またMiller(1953)によって問題が実験室にもちこまれてから四半世紀を経て,そうした時期にさしかかっている。ちょうど本年(1977)4月に京都で,第2回の生命の起源研究国際会議があったが,その印象も,こうした一般論を裏づけるもののような気がする。生命の起源研究は,一定度の順調な発展ののち,一つの曲がり角にさしかかっているということになろうか。
ただ,たいていの学問的発展は微視的にみれば,常に曲がり角にあるともいえなくもない。現在の生命の起源研究は大局的に見ても曲がり角だと筆者は思うのだが,ひとり合点にすぎないのかどうか,また本稿でそのような点まで浮き出させる記述ができるか否かは,あまり自信がない。ともあれ,そのような問題意識を念頭におきつつ,現在の一般的研究情況のうち,生命進化の初期の部分である化学進化を中心に概観してみたい。
ただ,たいていの学問的発展は微視的にみれば,常に曲がり角にあるともいえなくもない。現在の生命の起源研究は大局的に見ても曲がり角だと筆者は思うのだが,ひとり合点にすぎないのかどうか,また本稿でそのような点まで浮き出させる記述ができるか否かは,あまり自信がない。ともあれ,そのような問題意識を念頭におきつつ,現在の一般的研究情況のうち,生命進化の初期の部分である化学進化を中心に概観してみたい。
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