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文献詳細

雑誌文献

生体の科学28巻6号

1977年12月発行

文献概要

特集 青斑核 総説

青斑核の形態学的研究

著者: 清水信夫1

所属機関: 1名古屋保健衛生大学医学部解剖学教室

ページ範囲:P.421 - P.431

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 はじめに
 成人脳の第4脳室底の吻側部を見ると,内側隆起のすぐ外側に米粒大の青くすけて見える部分がある。これが青斑核(LC)で,その神経細胞がメラニンを含むためである。高等のサル類でもLCはメラニンを含むが,それ以下の哺乳類では本核は存在するがメラニンを含まない。したがって後者でLC細胞の同定,分布を決めることは必ずしも容易ではない。本核が発見され青斑核(Locus coeruleus)または銃質(Substantia ferruginea)なる名称が与えられたのは前世紀前半であり,以来多数の形態学者により細胞構築的,線維連絡的に研究がなされた1〜3。これら初期の研究では三叉神経(とくに中脳路およびその核)との関係を主張するもの,否定するものがあり,LCの下行路についてはProbst束が重視され,さらに血管支配の豊富なことが注目された。しかしLCの機能的意義については定説がなく,三叉神経との関係の他,自律作用に関する中継核であり,また呼吸調節に関連があると考えられた。
 さて本核が注目され,脚光を浴びるようになったのは1962年スウェーデン学派4)により組織螢光法が開発され,これによって脳内アミンニューロン,アミン線維の分布が詳細にされ,LCがその中心的地位を占めることが明らかとなったためと思われる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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